明治から大正時代にかけて、タバコ屋を始めとしたタバコ業界には大きな変化が起こりました。
タバコを利用してより多くの税を得ようと国が動いたり、タバコ屋が広告合戦を繰り広げたり。
明治から大正時代にかけて、タバコ屋を中心としたタバコ業界にはどんなことが起こっていたのでしょうか。
タバコ屋あれこれ
現代では、タバコを売るタバコ屋というと、自動販売機か自宅兼店舗の対面販売を思い浮かべる方が多いと思います。
では、明治から大正時代にかけてタバコはどんな所で売られていたのでしょうか。
明治時代、日本で作られた紙巻きタバコもありましたが、海外からもタバコを沢山輸入していました。
種類も紙巻きタバコや刻みタバコなど、様々。
実は明治から大正時代にかけて、タバコが輸入品だということがそれを売る場所に大きく関わっていました。
例えば、バーでも売られていたり、ある小説の中では唐物屋と表記されている東京銀座にあった日米屋というところでも船舶タバコを売っていました。
明治時代から大正時代にかけては、タバコを買える場所で売られていたのはタバコだけではなかったのです。
そんなタバコを扱う場所や商会のなかで覚えておきたい商会が2つ。
それが岩谷商会と村井商会です。
この2つの商会は明治から大正時代に向けて大きな力を持ち、 派手な販売競争を繰り広げました。
1904年にタバコの製造から販売までが国の管理で行われるようになるまで、日本のタバコ業界は激しい競争の時代でもあったのです。
手軽さ重視?
明治時代までは刻みタバコの方が紙巻きタバコよりも多く作られ、タバコ屋などで売られていましたが、大正時代になってそれが逆転します。
大正12年には紙巻きたばこの市場が大きくなり、刻みタバコを製造量で上回るようになったのです。
その理由の一つは、手軽さにありました。
紙でできた筒に粉タバコや刻みタバコを手作業で詰めた商品である紙巻きタバコは簡単に吸えることが大きな利点。
一方、その紙巻きタバコと競っていた刻みタバコはキセルに詰めるという手間がかかります。
大正時代はその手間を嫌った人が増えたことにより、より手軽に吸える紙巻きタバコがより多くの人に受け入れられるようになっていったのです。
記念たばことは?
大正時代、何か大きな出来事があると、記念タバコというものが作られ、売られることがありました。
記念硬貨は現代でも知られていますが、記念タバコというものがあったことは現代ではあまり知られていません。
例えば1915年には大正天皇の即位を記念する記念タバコが発売され、1920年には欧州の戦いの終息を記念した記念タバコが発売されています。
明治から大正時代にかけてのタバコ業界を覗くと、売られている場所が現代では想像できない場所であったり、何かを記念する特別なタバコが売られていたりと、今とはタバコを取り巻く環境などがまったく違うことが分かります。
現代とは少し違っていた、明治から大正時代のタバコを取り巻く世界。
明治から大正時代にかけて、タバコを取り巻く環境などは大きく変化していったのです。