明治時代、大正時代、昭和時代。
普段私たちが歴史を振り返る時には、明治、大正など、時代の名前を何気なく使っていますが、その時代の名前はどこから来たかを知っているのは少数派です。
大正時代の「大正」という文字でも、「昭和」という文字でも、どこからその文字が付けられることになったのでしょう。
実は、大正時代などの時代の名前として使われる文字の由来は日本の外、海外にあったのです。
実は中国由来?
ある時代を表す名前の文字、例えば大正時代の「大正」や昭和時代の「昭和」という文字は一体どこから付けられた文字なのでしょうか。
実は、「大正」も「昭和」も中国由来の文字です。
例えば「大正」という文字は中国思想の易経に由来をもっています。
この易経とは、儒教で基本経典とされている五経の一つ。
ちなみに、五経とは、易経、書経、詩経、礼記に春秋のこと。
これらは中国の思想家、孔子が編集したとも言われる有名なものなのです。
易経って?
宇宙の生成や宇宙を支配する陰陽五行の仕組みについて書かれている易経の中に、「大亨は以って天正の道なり」という一文があります。
実は、これこそが大正時代の「大正」の文字の由来となった文章なのです。
これは、天が民の言葉を嘉納し、政が正しく行われることを指しています。
また、大正時代の「大正」は易経に由来を持つ文字ですが、昭和時代の「昭和」は書経から取られており、その一部、「百姓昭明」と「協和萬邦」から一文字ずつとって付けられました。
また、「昭和」と同じく平成時代の「平成」も書経などから取られた文字です。
元号研究の第一人者はあの文豪?
「明治」「大正」「昭和」などの元号。
それらを研究する人たちの第一人者とされる人物がいます。
実はその人物、現代の私たちも名前を知っているとても有名な人物でした。
その人の名前は森鴎外。
数々の名作を残した文豪です。
そんな文豪は元号の第一人者でもあったのです。
小説を書いているとき、江戸時代の学者の伝記を読むことになった鴎外ですが、そのことをきっかけに元号に興味を持つことになります。
そしてその鴎外と元号を通じて親睦を深めていた吉田増蔵という人物。
この人物こそ、後に訪れる昭和時代の「昭和」という元号を作った人物なのです。
私たちが生きている現代でもよく知られている日本を代表する文豪の一人、森鴎外は文豪でありながら、元号の研究をしており、そこから昭和という名前をつけた人物とも関わりがあったのです。
日本の歴史上に起こった出来事を振り返る時に何気なく使っている元号。
しかし、この元号は実は中国にその文字のルーツがあったり、そんな元号について調べていた人物に有名な森鴎外が名を連ねていたりと、調べてみると奥が深いものなのです。