大正時代は様々な産業が発展した時代です。
そのきっかけとなったのは第一次世界大戦。
第一次世界大戦が日本にもたらした大戦景気により、大正時代の産業は発展を遂げたのです。
では、その中でも特に発展した産業は何だったのでしょうか。
特に発展していった産業のうち、2つを取り上げてみます。
送電距離の長さで世が変わる?
大正時代に特に発展した産業の中でも世を変えたものとして外せないのが電力業です。
明治時代末から大正時代にかけて、より高圧で送電できるようになったことで、送電距離が長くなっていきました。
この送電距離が長くなったということが大正時代の世の中を大きく変えることになったのです。
例えば大正時代には東京から猪苗代までの送電に成功しています。
それと合わせて、当時大規模な水力発電事業が展開されました。
この水力発電が展開されたこと送電距離が長くなったことの2つにより、都市だけではなく、農村に電灯が普及していきました。
このことは工業原動力のメインがそれまでの蒸気力から電力へと変化していったことを表しています。
電力業の発展が連れてきたのは?
更に、電力業の発展は電気機械の国産化も推し進めました。
そしてそのことがもう一つの大きな変化を招きます。
重化学工業の発展です。
この重化学工業と電力業の2つが大正時代に特に発展した産業です。
この2つの産業は日本に大きな変化をもたらしていきました。
大正時代には、電力業の発展に合わせて重化学工業が急速に発展し、やがて工業生産額のうちの30%をも占めるようになりました。
その産業に関わる労働力者は100万人を超えるようになり、なかでも特に男性の労働者は急激に増えていったのです。
しかし、それと比べて勢いがなくなっていた産業もありました。
追い越される農業
大正時代、電力業や重化学工業などを中心として様々な産業が発展していきましたが、それと比べて勢いがなくなっていた産業もあります。
それが農業です。
大正時代の農業は大地主が耕作から離れて小作料の収入に依存する寄生地主となる寄生地主制を続けていましたが、大正時代のあらゆる産業が発展していく中、農業だけは成長せず、停滞していたのです。
大正時代には第一次世界大戦の影響により、大戦景気がやってきたこともあり、様々な産業が発展していきました。
中でも、電力業では送電距離も長くなり、長い距離の送電に成功したため農村まで電灯が普及していったほど。
更に、そのことにより電気機械が国産化され、重化学工業も発展していきましたが、電灯が普及した農村ではその勢いは伝わらなかったのです。
大正時代には、様々な産業が発展した印象を受けますが、その中でも特に発展し、日本を変えた産業と、それまでと変わらず、特に発展しなかった産業とで明暗が分かれていたのです。