大正時代の本屋が果たした役割とは

現在、有名でよく名が知られている大手出版社の中には、明治時代や大正時代に本屋として創業を始めたところが少なくありません。

出版社を兼ねることもあった大正時代の本屋は、当時世間に大きな波を起こすなど、大事な役割を果たしたところでもあります。

では、大正時代に本屋が起こした大きな波とは一体なんなのでしょうか。

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情報の力とは

第一次世界大戦で中国の青島を占領した日本。

実はそんな戦時中や戦場でも本屋は大きな役割を果たしていました。

占領した青島には、ドイツから持ってこられたヨーロッパの最新情報の本が置いてありました。

当時、日本で海外の本を取り扱っていたのは丸善のみ。

取り寄せようとしたら時間がかかってしまい、最新の情報とは言えなくなります。

そんな海外の情報が不足している中見つかった、海外の最新情報が載っている本。

その本の目録を作成し、日本の大学に送って知らせた結果、最新情報だけではなく、中国の山東省の詳しい地図などもあったため、更に中国を攻める方針に決まりました。

本に載っている情報は時に戦争の方針などを決めることもあるのです。

そこからわかるように、情報は戦を左右する大事な要素です。

時に本屋はそんな情報を得るための本を扱う重要な立場にあったのです。

ブームの火付け役は?

大正時代、本屋が出す雑誌などはとても人気でした。

人気のあまり、さまざまなブームも引き起こすほど。

例えば1918年に『赤い鳥』という雑誌が創刊されると、日本には児童文学ブームが起こります。

大正時代に起こったブームはそれだけではありません。

『中央公論』や『改造』といった総合雑誌も次々発売され、ブームになっていくのです。

特に大正時代を代表する娯楽雑誌『キング』の発行部数は100万部を超えるなど、本屋が次々売り出す本や雑誌は大正時代に多くのブームを引き起こしていたのです。

そして、現在大手出版社とされる会社もそんな大正時代に本屋として創業したところが少なくないのです。

また、大正時代に数々の文豪が丸善の本屋を気に入っていました。

丸善は洋書や文具などを扱っていましたが、そんな丸善を文豪たちは自らの小説に登場させています。

丸善は数多くの文豪が利用し、愛着を持っていた本屋と言えるのです。

それはここから始まった

大正時代の終わり頃から昭和時代にかけて、円本ブームが起こります。

円本というのは、一冊一円という値段設定の本。

大正時代におきた関東大震災をきっかけにして売り出された一円の本は、本が読みたい人々を中心に円本ブームを引き起こしたのです。

この円本ブームを起きたきっかけになったのは大正時代に創業した改造社でした。

総合雑誌『改造』を創刊したところでもあります。

大正時代の本屋や出版社は本という大事な情報を扱っている場所でもあり、世の中の人々に積極的に働きかけることで、大きな影響を与える雑誌や本のブームを起こしていった場所でもあるのです。

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