お茶にジュース、そしてお酒。
現代では、飲み物一つであっても数多くの種類があり、スーパーやコンビニなど、あらゆる場所で買うことができます。
しかし、それほど多くの飲み物を気軽に買えるようになったのもつい最近のこと。
大正時代には、現在のように数多くの飲み物の種類はありませんでした。
しかし、その一方で大正時代とは、現在でもお馴染みの飲み物が販売され始めたり、広告を通じて広まっていったりした時代だったのです。
では、大正時代に現れ、広まっていった飲み物にはどんなものがあるのでしょうか。
現在でも有名なあの飲み物、現わる!
海外の文化が日本に多く入ってきた明治時代、その影響を受けて日本では喫茶店が増え、コーヒーを飲むことが一般の人々の間で日常の光景になりつつありました。
そして大正時代に入ると、コーヒー以外にもそれまでにない様々な飲み物が世の中に出回り始めます。
例えば現在でも人々に親しまれている飲み物であるカルピスが販売されたのも1919年の大正時代のころ。
また、カルピスと同じ頃にコーラ飲料も日本で販売され始めました。
そして大正時代に登場、広まっていった飲み物はそれだけではありません。
1923年には京都でモルトウイスキーの蒸留所の建設が始まり、日本で本格的なウイスキー造りが始まるなど、大正時代は様々な飲み物が世の中に誕生し、広まっていった時代だったのです。
親しまれた痕跡がこんなところに?
大正時代、それまでになかった様々な飲み物が誕生、広まっていったり、海外から入ってきたりした時代です。
中でも、現在の日本の人々にとって、そして世界の人々に親しまれているコーラ飲料が日本で発売されたのもこの頃。
このコーラ飲料、一般庶民にはまだ手の届かない贅沢品でしたが、それでも親しまれ、飲まれていたことが大正時代に残されていた資料からわかります。
その資料は様々な形で残っていました。
例えば、コーラ飲料が人々に親しまれていたことがわかる資料のなかには芥川龍之介が書いた手紙、高松光太郎の出した詩集『道程』のなかの「狂者の詩」があり、その中にコーラが出てくるのです。
また、コーラが親しまれていたことを表す資料はそれだけではありません。
当時、明治屋の「嗜好」というPR誌に初めて広告がだされたことが分かっています。
大正時代、日本で初めてコーラ飲料が発売されるとともに、広くその存在を刻みつけていった時代だったのです。
甘酒の変化
日本で昔から愛されている飲み物の一つ、甘酒。
この甘酒は現在では冬に飲むものとされていますが、初めて登場した時には夏に飲むといいうのが一般的でした。
また、甘酒は現在と昔とでは作り方にも違いがあります。
その変化が起こったのは大正時代。
それまで甘酒は米、米こうじから作り出されるものでしたが、大正時代に酒粕と砂糖をこして作るというやり方が増えていったのです。
そして大正時代以降、このやり方が甘酒を作る主流となっていったのです。
大正時代には、甘酒やコーラのように、小さな変化を繰り返しつつも現在でもお馴染みの飲み物が誕生、輸入されたりして広まっていった時代なのです。