「癒し」ブームの現代社会。
癒しを求める現代人は、ペットや睡眠など、さまざまなものに癒しを求めます。
その中でも、ペットについで植物に癒しを求める人の数は多いはず。
癒しを求めて花を買おうとすれば、花屋で買うのが普通です。
いつでも数多くの切花や苗が並んでいる花屋ですが、よく見れば日本ではなく、海外原産の植物も並んでいます。
花屋がそんな海外の花をより多く扱いはじめたのは大正時代の頃でした。
そんな大正時代の花屋を取り巻く状況を見ていきましょう。
花業界の変化
明治時代後期から大正時代にかけて、花屋は大きく変化していきました。
花問屋が全国に誕生、そして花屋の数も増えていったのです。
そして、花屋に大きな影響を与えた大正時代の出来事の一つが震災でした。
大正時代に起こった大震災をきっかけにして高級園芸市場組合が作られ、切花に鉢物、そして温室で作られた高級野菜などを扱うようになったのです。
そして、その流れは一箇所だけにとどまらず、地方でも生花市場が誕生していきました。
このことは大正時代の花屋に大きな影響を与えます。
また、明治時代に外国の花である洋花の輸出も本格的になりましたが、その流れも加速していきました。
日本の花に対する変化
そんな大正時代、一般家庭での花の飾り方が変化するなど、日本各地での花に対する扱いも変化していきました。
日本初の温室が明治5年に建てられ、そのことでそれまで日本にはなかった海外の植物が育てられるようになり、大正時代にはより多くの海外の植物を見ることができるようになっていました。
明治時代から外国の商社からバラが輸入されており、バラブームが起きるなどの出来事がありましたが、大正時代からはそんなバラ以外にも洋花を育てることが広まっていったのです。
花屋には海外の植物も並ぶようになっていきました。
また、生花などは日本の伝統的な芸術として多くの人々に知られていますが、一般の家庭でも花瓶に切花を挿して見て楽しむ、といった文化が始まったのも大正時代です。
大正時代の人気の花とは
海外からそれまで日本にはなかった花が輸入され、国内で育てられるようになった明治時代、そして大正時代。
そんな明治時代から大正時代初期にかけて外国から日本にやってきて人気が出た花の一つが現代でもお馴染みのガーベラです。
可愛い形に華やかな色合いのガーベラは日本国内で人気を博していきました。
一方、同じく大正時代の頃に外国から日本にやってきた花でもあまり人気が出ず、普及しなかった花もあります。
そのひとつがアルストロメリア。
その優美な華やかさを持つアルストロメリアは現代では人気の花の一つですが、日本に入ってきたばかりの頃はあまり人気が出ず、普及しなかったのです。
そんなアルストロメリアの人気が出てくるのは大正時代がすぎたあとのことでした。
現代では駅や街中にあり、ふと目をとめてしまう花屋。
癒しをくれる花たちを扱う花屋では明治時代や大正時代に海外から新しく入ってきた花たちが仲間に加わり、より華やかになっていったのです。