現代では台所に欠かすことのできない家電、冷蔵庫。
そんな冷蔵庫は大正時代の頃に大きな変換期を迎えていました。
当時は二種類の異なる冷蔵庫が日本に登場したころだったのです。
それ以降の冷蔵庫の歴史を変えた二種類の冷蔵庫とは、どんなものだったのでしょうか。
冷やすのは氷?それとも電気で?
まず初めに登場した冷蔵庫は別名氷箱、または氷冷蔵庫と呼ばれているものでした。
その名前の通り、氷を使った冷蔵庫です。
登場したのは大正時代の少し前、明治時代でした。
そしてそのあとに登場した冷蔵庫が電気冷蔵庫です。
氷ではなく、電気で中のものを冷やすタイプの冷蔵庫で、1923年に家庭用の電気冷蔵庫が輸入された記録が残っています。
大正時代には氷を使った冷蔵庫と電気を使った冷蔵庫が登場、発展していった時代だったのです。
蛇口つき冷蔵庫?
氷で冷やすタイプである氷冷蔵庫は、現代の冷蔵庫とは全く違う外見をしていました。
内側には金属板、または断熱材を張ってあり、冷気が逃げにくいようにしてあります。
大体二つドアがついたタイプが多く、上に氷の塊を置き、その冷気で下の棚の物を冷やす仕組みになっていました。
その温度は10度前後であり、現代の冷蔵庫のようによく冷えるものではありませんでした。
冬は外の方が寒いので、冬には冷蔵庫の中に食べ物を入れておくよりも、外に置いておくこともよくあること。
いいところとしては、下の段に入れた食べ物を乾燥させることなく冷やすことが出来た点が挙げられます。
逆に、欠点としては中に入れた氷が解けることでできた、受け皿にたまった水を一日に一回は捨てなくてはいけないところが挙げられます。
そしてなによりもこの冷蔵庫で変わっていたのは外見です。
実は、この冷蔵庫、外側は木製という現代では考えられない外見を持っていたのです。
また、中には蛇口のついているタイプもありました。
氷が解けることによって中にたまった水をこの蛇口から捨てることが出来る仕組みになっていたのです。
電気冷蔵庫は高すぎる?
氷冷蔵庫が使われている一方で、電気冷蔵庫も少しずつ発展していきました。
1918年、米国ケルビネーター社によって世界で初めて製造販売された電気冷蔵庫は1923年には家庭用として初めて日本に輸入されたのです。
輸入品ではない国産の冷蔵庫は1930年、東芝が初めて製造販売したものです。
しかし、大正時代に登場したこの電気冷蔵庫、家庭用といってもかなり高額の値段であり、一般の家庭にはなかなか出回りませんでした。
大正時代には氷冷蔵庫と電気冷蔵庫という二種類の冷蔵庫が登場していましたが、電気得冷蔵庫の方は家庭用であっても値段が高いなど、とても庶民にとって気軽に使えるようなものではなかったのです。
そのため、大正時代は二種類の冷蔵庫が国内で使われていた時代となったのです。