日本で昔から着られてきた振袖。
日常的に着ることは少ないけれど、振袖はどんなものかは多くの方が知っているはず。
しかし、日本の伝統的な衣装の一つであり、どんなものかはよく知られているとはいっても、実はそれほど詳しくはわかっていない人が多い衣装でもあります。
そんな振袖について、大正時代までの歴史やちょっとした小話を紹介します。
種類は3つ?
日本の伝統衣装である振袖。
日本人の誰もに知られているように、振袖は袖の長い着物です。
けれど一言で振袖といっても、振袖には実は3つの種類があります。
それが大振袖、中振袖、そして小振袖の3つ。
その種類を区別するには、袖の長さをみます。
大振袖は115センチ以上、中振袖は95センチから115センチ、小振袖は85センチ~95センチの袖丈であるという違いがあるため、その長さで区別をつけるのです。
3つの種類、そのそれぞれに用途がある振袖ですが、現代では一般的には振袖というと大振袖のことを指すようになっています。
振袖の歴史や裏話
では、大正時代までの振袖の歴史を少し見てみましょう。
振袖が子供や女性の着るものとして日本に根付いたのは江戸時代の末ごろのこと。
特に若い女性、未婚の女性の服装として認識され始めた時期もこの頃です。
そして振袖の長い袖は若い女性の象徴として徐々に認識されていきました。
実は着物の成熟期といわれる大正時代までの振袖の歴史で、その特徴である長い袖を使って行う、ある行動が若い女性のあいだで一大ブームになったことがありました。
それが、「袖を振る」という行為です。
なぜ袖を振るという行動が若い女性のあいだで一大ブームとなったのでしょうか。
実はこの袖を振るという行為は、恋心を密かに表す行動として広まりました。
女性が愛する人に対してその人の恋心を少しでも自分の方に引き寄せたい、そんないじらしく健気な気持ちを密かに表す行動として「袖を振る」という行動が女性のあいだで広まっていったのです。
アンティーク振袖?
大正時代は着物の成熟期とも言われる時代。
西洋の文化が日本に入ってきて、もともとあった日本の文化と合わさった時代です。
そんな大正時代の影響は振袖や着物にも及びました。
西洋の柄などを着物にデザインするようになり、それまでの時代よりも華やかで大胆な柄や色使いをするようになったのがこの大正時代の特徴です。
そんな大正時代につくられた着物は現在ではアンティーク着物といわれ、ほかの時代にはないポップな柄や色合いが人気となっているのです。
現代であっても劣ることのない大正時代の着物や振袖は、その長い歴史のなかで様々な変化や工夫をみせ、西洋の柄も取り入れ、デザインするなど、伝統的なものでありながら柔軟に変化し、現代までその歴史を綴ってきたのです。